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2014年12月15日

中田氏と日向文と塩対応

「塩対応」という言葉がある。アイドル島崎遥香さんの「そっけない態度」を表現する言葉として一気に知られるようになったが、もともとは、彼女にかぎらず、そういった対応全般を指す近年のスラングである。この言葉を聴いた時、その遥香さんの態度も含めて、どこか他人と思えないような親しみを感じた。ちょっと長くなるが、そのことについていろいろ書いていきたい。

長崎に住んでいた僕が関東に戻り、ちょうど1年が過ぎた10月の初めくらい。やっと作業スケジュールに空きができ、かねてから計画していた「東京ライブハウス巡り」を実行することにした。首都圏を7年間離れていた身としては、果たしてその間の東京の音楽はどうなっているだろうか?ということは、ずっと気になっており、長崎在住時代からツイッターや知人からの繋がりで、幾人かのアーティストさんをチェックしていた。上京後は、まずはその方々を手始めに通ってみることにしよう、とずっと楽しみにしていたので、時間が空いて遂にそれができる!ということでずいぶん嬉しかった。
そのチェックしていた内の一人が「日向文」という子だった。ネットで音源を聞く限り、彼女の歌の、特に音感が素晴らしく、それが生でもちゃんと再現されているか、そのことにとても興味があった。そういうわけで、まずは手始めとして彼女を見に出かけることにした。場所は下北沢のライブハウス。行き慣れた場所だったので楽勝だなと思っていたところ、なんとその日、運が悪いことに井の頭線が事故で止まってしまい、渋谷から直接行けない、ということになった。しょうがないので新宿に向かいそこから小田急で行くしかない、と。ちょうど夕方のラッシュ時で、僕のような人が大勢居り、駅も山手線も激混みで、あまりの大変さに心が折れそうになった。ライブはスタンディングなので、その前に余計な体力を使わないで温存する、というのはライブ参加時の鉄則。こういう想定外のことは普段以上に堪えるのだ。しかし、せっかく日向文を見るのだから、と自分を奮い立たせ、普段の4倍近くの時間をかけてやっと下北沢に到着した。イベントは出演者が沢山おり、対バンを何組も見なければならない。しかし、さすが東京、どの対バンも上手かった。期待は上がる。そうして遂に日向文の登場。…声も音感も「そのまま」だった。これはすごいな、と思った。こんな音感の子、少なくとも長崎には居なかったし、他にもどれだけ居るかどうか。苦労して観に来た甲斐があったというものです。。と報われた気がした。その後僕は、物販に居た彼女に話しかけ、CDと缶バッジを購入、また来ますね!と言い、ライブハウスを後にした。
と、ここまではいい話なのですが、その後、彼女をもう一度見に行った時から、なんとなく訝しげな態度を取られるようになり、なんとなく自分が邪魔にされているような感覚を受けるようになった。いやー気のせいだよ、とも思ったが、しかしツイッターの発言も、エアリプで誰かを揶揄してるようである。まさかそんな、自意識過剰すぎるんじゃないの?と自分でも思い、気にしないようにしていたが、ある日の発言で、コレは明確に僕に対する揶揄だ、と気づいた。いやどう見てもこれは僕に言っている…。と。これは電波でも勘違いでもない、明らかに僕だ、と。そう理解したのである。
僕も普通の人間ですので、彼女にそうされたことはそれなりに傷つき、また、彼女にそうまでさせた僕の言動は何だったのか、それほどうざい言動をしてただろうか、いや、親しげに話しかけたし、それがうざかったんだろうな、いやでも、それにしても過剰反応じゃないか、などと自問自答する日々が続いた。あんなに苦労して下北沢まで行ったのに、それはないだろう、と憤りもあったし、全て綯い交ぜになって悲しみすら湧いたのだった。
僕がこのことで思ったことは、実はそれだけではなかった。それは他ならぬ自分自身のことだった。実は僕自身、自分のライブに足を運んでくれた方に対して、常に暖かいとは限らなかったのである。いろんな人が見に来てくれたが、やはり「合わない」相手というのは居るのである。その時に僕はどうしていたかというと、この時の日向文とまったくそっくりな塩対応をしていたのだ。自分が過去に、散々そうしてきて「客を選ぶような」態度をとっていた。そうしていざ自分がブーメランを喰らい、される立場になってみると、これはキツイなあ…と初めて思ったのである。僕は日向文を責められるだろうか。自分だってさんざんそういう態度を、お客さんに対してやっていたではないの?自分がやってきたことを彼女もやっただけだよ、と。ということは彼女と僕は似てるとも言えるじゃないの。責められないでしょ、と。

冒頭で書いた、僕が島崎遥香さんに親近感を持った、というのもそういう理由だったのですね…。日向文の場合と同じく、まるで自分のことのように思えたのだろう。

さて、そんな晩秋。話はいきなり飛ぶが、2014年12月に公示された衆議院選挙。久々の首都圏選挙に参加できるというので、気持ちは上がっていた。とある神奈川県の私鉄駅に行ったときの話。駅に向かって歩いて行くと、ノボリがたくさん立って声高に演説している人がいる。おお!誰か居る!誰だろう、と近寄ってみると中田宏氏であった。中田氏はメディア露出が多く、所謂「有名人候補」である。そんな人が、平日の午後に歩いているような一般人に対して、何を言うのだろう。そう思っていると、いきなりニコニコと彼が近づいてきて握手を求められた。そして「今回の争点はどんなことだと思いますか」「アナタが一番重視してる争点はなんですか」などと尋ねてきた。僕は僕なりの考えを述べた。その僕の考えは、中田氏とは異なっていたようで、一瞬渋い顔もしたものの、うまく話をまとめあげ、ともかく迷ってるなら自分に1票を!と力強く何度も言い、力強く握手を何度もしてきた。その間、終始ニコニコもしていた。
ほんの3分くらいの時間だったが、彼と接してみて、特に怪しいともインチキ臭いとも思わなかったし、案外ちゃんと普通に話すものなんだなあ、と感じた。そしてもうひとつ感じたことがあった。この感じはデジャブだ、どこかで似たような経験というか感覚がある。それは何だったかな、ということだった。この感じに似たものがあるぞ、と。
そうして思いついたのは、アイドルの対応だったのである。そうだこれはアイドルだ!と。アイドルは常にニコニコし「頑張りまーす」と言い、握手する。まさに「候補者」と一緒なのである。1票が欲しいから塩対応なんかあり得ない。ニコニコして不快なことなんかなにもないよ、という顔をして、お願いします!と訴えるのである。選挙の候補者はアイドルでもある!
なるほど!AKBの人気投票を「総選挙」というのも理に適ってるわけだ。候補者はアイドルと一緒なのだから。…中田氏にはいいことを教わった。アイドルというものが何であるのか、その一つが自分の中で判った気がした(アイドルPなのに、判ってなかったw)

そんなことがあり、再び、日向文と塩対応について考えた。中田氏やアイドルの対応、日向文や僕の対応、まあ例外として「アイドルなのに塩対応」の島崎遥香さんという大物も居るけど、大体は前者2つのパターンだろう。どっちが正しいんだろうか。どっちが自分向きなんだろうか。どっちが「自分に嘘をついてない」言動なのか。その後も暫くの間、暇さえあればそのことを考え続けたが、どうしても答えは出なかった。
ただひとつ、される身としては、塩対応されるとちょっと悲しい、ということだけは理解した。そうしてとりあえず、僕は僕自身が冷たい対応をした過去のお客に対して、少しだけ「申し訳なかった」という気持ちが湧いた。今後どうするかわからないけど、とりあえず「僕は」気持ちのいい対応をしたいな、と。
そういえば僕は、前の仕事が接客業でホテルマンでもあったのである。中田氏やアイドルの対応は、まさしくこれであった。プロ対応。少なくともそれが僕の中で「正しい」と思ってる接客対応である。ホテルやお店でプロ接客対応ができるのに、ライブのお客さんに対して出来ないはずはない。少なくとも僕は、今後はそうしていきたいな、と思ったのである。…出来るかわからないけどw

日向文さん、中田宏さん、とてもよい発見が出来ました。
ありがとうございました。というお話。


Nakadahinata
手前の缶バッジが日向文グッズ。

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