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2010年3月 5日

創ってる人の顔が見える

自分もかつては「ビーヲタ」だったくせに、近親憎悪とでもいいますか、同族嫌悪といいますか、マニアの人たちがあまりにめんどくさかったので、反動でビートルズの悪口ばかり言ってた時期があった。そのときに一人のビートルズファンから「そうやって今は嫌いなのは分かるけど、ではビートルズ聴いてひとつもいいことはなかった?」と尋ねられて、ちょっと考えて「あー、ある。ビートルズ聴いてなかったら自分はバンドとか楽器とかやろうと思ってなかったと思う。」と咄嗟に答えたんだよね。

その後そのことについていろいろ考えるようになって、そういえばビートルズ聴く前は、世の中に流れてる音楽っていう物すべて、人間が演奏したモノだって気付いてなかったな、いや、気付いてないわけ無いんだけど、例えば、100均で売ってるプラスチックのハコとか、電車の座席のネジ一個とか、そういうものみたいに、どこかの誰かが手で作ってる、っていう感覚があまり無かった。田舎だったからライブとかの生演奏もあまり見る機会なかったし、あったとしても、それと街中やCDで流れる音楽は別、みたいな感覚あったと思う。

ビートルズの音楽やイメージ、キャラクターは全部分かりやすいから、比較的年齢低い頃に出会うでしょ。そうすると、実際に楽器弾いて歌ってる姿、曲を創ってる姿、みたいなクリエイト全般の総体イメージっつか、そういうものを認識させられたっていう初めての経験な人も多かったと思う。もちろん、それが全然違うバンドだったりクラシックだったりする人とか、さまざまだと思うけど、なんていうんだろ、ああいうポップ音楽が素人っぽい人の手作業、手演奏で出来るっていうのは、ちょっと新鮮だったと思う。

昔の歌謡曲からJPOPから、そういう音楽って、映画のサントラ音楽もそうだけど、プロの職人集めて、でかいスタジオか、プロ用設備のプライベートスタジオとかで録るっていうのは、それは今だと分かるけど、メイキング映像とかでも見ない限りはそういうのイメージ沸きづらいでしょ。普通の人は。ビートルズの場合は、今そこで鳴ってる音が実際にこのおっさんが弾いてる、ってちゃんと分かるっていう初体験だったと思う。

なんか、思う思うばかりで、ちっとも確信ぽくないんだけども、少なくとも僕の中では、それらの認識がきっかけになって、自分で何か創ろう、という気分にはなったよね。


まあそういう「人の顔が見える音楽」って暑苦しい音楽でもあるから、その「汗臭さ」が嫌で、その後離れてしまう。テクノとかハウスみたいのを好きになる経緯ってそんな感じだった。自分はドラマーだったくせにドラムは汗かくから嫌いだったし、「人の匂いのするもの」全般が嫌だった時期はあったね。「物創るのは人間」ってのは画期的発見だったけど、人間だから当然人間らしさもあるわけで、性格とか人格とか、生身の人間だから当然あるでしょ。そうすると、楽器や音楽が上手い、っていうのと別に、でも人間性嫌い、みたいな人も当然いるわけ。天才だけど性格最悪、みたいな。僕にとって、その人間性が音楽のイメージにまで影響与えてしまうことはすごく嫌だった。音楽は音楽として、それのみで向かい合いたかったから。人間を排除したい、って思うようになったんだよね。

そう考えるようになってからは、作者のプロフィールとかいろいろ調べる事もあまりよくないことなんじゃないかって思うようになって、だんだん控えるようになったね。別に、音楽と、それを産んだ人の人生なんか関係ないじゃん、って。実はそんなことも無いんだけども。


10年位前から、スーパーで売ってる野菜とかに顔写真がくっついて「これは私が創りました」みたいなキャプション付くようになったけど、それもどうかなって思うこともある。それは僕自身、それがいいと思った時期と、それがウザいと思った時期と、両方経験したからだよね。こんなおっさん作ってる野菜なんか食べたくない、って思う人もいるんじゃないかなあ。

そしてたぶん、音楽も、例えば僕の音楽だって、こんなウザい奴の音楽なんか不快で聴いてられっか!と思ってる人はたくさんいるんだと思う。だからこそ、そんな弊害を越えてまで僕の音楽を聴いてくれる人がいることについては、もう感謝しかないよね。

ありがたい話だ。

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