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2009年6月11日

器用貧乏スペシャル

「アンタは器用貧乏だよね」

ものすごくムカつく女が僕に発した言葉である。
20年も前のことだ。しかし一生忘れないだろう。

確かに僕はやりたいことが多すぎて、どれもこれも中途半端だった。

MTRやHDDレコーダがない時代、
僕はテープレコーダを2台繋いで、ダビングの多重録音で曲を作っていた。
当時そのようなアーティスト活動する人はほとんど居らず、
オタクだの暗いだの、さんざん言われた。

曲は元祖「高田馬場」とも言うべきネタ系で、評判は良かったけど、
ライブや外での活動をしない以上、アーティストとしては存在してないに等しかった。
つまり、遊びだと思われていたのだ。

見よう見まねでピアノの弾き語りも始めたが、コードくらいしか弾けず、
歌う曲もカバーばかりでは誰も注目もしてくれなかった。
おまえが歌うと元を歌ってるアーティストのイメージが壊れるから、
それカバーして歌うな、と禁止されたこともある。

そのころから吹奏楽やバンドでDrumは叩いていたが、
あくまで2の次で練習とかしなかったので(それにしてはセンスは良かったんでない?自画自賛w)、
ドラマーとしても認められず、
ライブやハコの仕事先では「あれでドラマー?」などと揶揄されたり、散々だった。

そういったことが続いたあと、僕はそれまでの人生や中途半端な状態を反省し、
何かのスペシャリストになろうと決めた。

ドラマーとして認められなかったことが大変悔しかった僕は、
まず、ドラマーとして極めよう、と心に決めた。
あいかわらず馬鹿にされたり揶揄はされたが、必死に耐えて、あらゆる事に参加した。

キャバレーのハコの仕事が一ヶ月入り、
そこで徹底的にバンマスに鍛えられ人生が変わった。

以前のバンドに戻ったとき、メンバーが言った。
「あんた、実はリズム感良かったんだね、才能ないかと思ってたよ」
これはとても嬉しかった。今でもこの言葉は支えになってるね。

その後バンドは、営業で小ブレイクし、楽しい時を一夏過ごした。

以上のような状況が、僕の20代の全てだ。


30代になり、ドラマーとしてやりたいことはやり終わったと感じた僕は、
次の道へ進もうと決めた。

それが多重録音による曲作りだ。ホテル業との兼業だった。
いや、兼「業」じゃない。曲作りは仕事じゃなかったからな。

僕はホテルという究極の接客業を通じ、
人が何を求めているのか、サービス業というのは何か、身体で学んだ。

臨機応変にお客の希望を先読みし動くことは、
ジャズのセッションにも似ていた。

曲作りに際し、雑多であか抜けないサウンドの原因だった「演奏」を見直し、
Bassやギター、ピアノ、と全ての楽器演奏を死ぬほど追求した。

そして最後に「歌」を徹底的に追求した。

そうしたこと、すべてが曲作りに反映され、
僕の多重録音は「オタクの宅録」ではなくなった。

曲作りと歌が仕事になりそうになったとき、
僕は、そこに集中するため、歌と作曲以外の全てを一旦封印した。
その時点で、僕は「演奏家」ではなくなった。

器用貧乏と馬鹿にされた僕は、そうしてスペシャリストへの道をなんとか歩んだ。


昨年、レーベルを立ち上げ、自分のアルバムを売り、
自分の名前を売って歩くに際して、僕はそれらの封印した技術を徐々に復活させようと思った。

習得した技術は使わなきゃバチが当たるじゃないか。

ZEPブートの研究もアイドル研究もビートルズ分析も、ラジオも。そんでドラムも。
それら雑多な全てが「僕」という一つに集約してくるのだ。

器用貧乏のスペシャリストなのさ。

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コメント

いっとき、ひとつの目的のために封印した何かを
時がみちて、状況が整えば、開く
そうしたら、ずっとやりつづけていたよりも
さらに良いものに復活させることができて
ひとまわり、ふたまわり成長する

そういうこと、10年、20年の長いサイクルでみないと
わかんないですよね


一本の中心が幹のようにあって ほかにもいろいろ枝がのびて
豊かになるなら いいことだと思います。

投稿: のえる | 2009年6月12日 10:22

その女の性格から言うと、たぶんに妬みも含まれてたと思うのですが、言われて数年は僕も凹みましたが、その後は悔しさをバネに頑張ったので、今思えば、ですけど、良いこともあったとは思います。

でも正直、この人生が果たして良かったのかどうか、今も結論は出てないです。

しかし、こうなってしまった以上は、こう生きるしかないって事ですね。

そうやって、ふと思い返すと、僕の場合、誰かが水を差さなければ、とっても真っ当で素直な人生を歩んでただろう、という気がします。

しかし何故か、僕はちょっかい出されたり叩かれたりするのですよ。

そうすると、僕はそれにムキになるので、その問題点を払拭するまでそれにこだわるんです。


僕はともかく人に何かを言われることが大嫌いなのです。
でも実際は、何かを言われないなんて事はあり得ないのです。

言われたことにムキになって一つ一つ解決していこうとするから、こうして時間はかかったけど、結果的に何かを掴んではいる。

とすると、今後も僕に必要なのは鞭なんでしょうね。僕は叩かれないと落ち着かないんですね。

つくづくM気質ですねえ。

投稿: kara | 2009年6月12日 10:23

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