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2007年12月26日

オレオレ主義

先日レギュラーで出ていたラジオの収録に行った。実はオレは番組レギュラーを今年一杯で降りることになっていて、最後の収録も終っていたので、もう行くことはないだろうと思ってたのだが、特別企画があって急遽呼ばれたのだ。先日、会社の業務終了のことを書いたが、この番組もその関係のものである。そういう意味では最後のお勤めだったともいえる。そんなわけだがスタジオに着いた早々、もう一人の番組パーソナリティが、どこから連れて来たのか、数人のスタジオ見学者を前に「自作曲」を歌い、必死にアピール中の場面に出くわす。アンタさ、オレがもうひとりのメインだろが。時間ねえんだしさっさと収録準備しろよ、と思ったが、その気配なし。

こういう業界には「元アーティスト」みたいなプロデューサーが多い。表向きは自分が歌うことを諦め、若者をプロデュースするために第2の人生を、みたいなスタンスだが、実際会ってみると、今でも野心ありありで、隙さえあれば自分を売り込むことに必死になるのだった。元々才能があり「今こういう不遇状態なのは運がなかったんだね」という人も中にはいたが、「ちょっとどうかと思う」という人も多いのだった。そんな人が他人のプロデュースなんかやっても上手く行くはずない気がするんだがね。

そのラジオの彼もそんな一人だった。表向きはオレの事を立てていても、いざとなると毎回こうなのだ…。この場面でオレが歌い出だせば、オレが全ての空気を持って行くことはわかってる。そうなれば彼が不機嫌になるのも、火を見るより明らか。必死なアーティストほど扱いにくいものはない。オレは知らん振りして放置プレイを貫いた。

会社もいつもそんな状況だった。問題なのは、その状況を客観的に判断できるスタッフがいなかったことだ。そういう「オレがオレが」言う人は大概、人格的にも面倒な人が多いので、みんなが避けるようになる。結果的に誰も何も言わないので、その人の思い通りになってしまうのだ。

どこの会社でも在るのではないだろうか。社内で浮いているが外向きには顔が知られている人とか。

ということで、ラジオの彼は、ひとしきりアピールし終わると、おざなりのようにオレの話題に触れ「実に才能のある人なんですよ」とか言う。しょうがないのでオレも見学者(全員女性)に「よろしくです。来月ライブもあるし良かったら是非♪」とか言うと、「チケットはタダですか?」などととんでもないことを言う。「てめえセクハラするぞごら」と内心思ったが、それには答えず素敵な営業スマイルを返し、話題を強制終了させた。

前回書いたこととも通じる話だけど、困った大人の「オレオレ」アピールってのは、本当に痛い。それは、全てのことが本人の中で未消化だから痛く感じるのだ。オレは好きだったアーティストをとことんしゃぶり尽くし、次々に卒業した。その延長上にあった仕事でも、出来ないことは徹底的に自己究明し研究し、全てひとりで可能、という段階に至るまでやり続けた。どんなことでも、「途中で終わらす」ということは決してしなかった。全て最後までやった。
ちょっと前までは自分も「オレオレ」という部分がある痛い大人だったが、少なくとも本業に関しては、今のオレはそんなことはないと思っている。

自分が必死で頑張って通り過ぎて来た世界に、大の大人のオマエラが未だ留まり続け、つまらない「オレオレ」をアピールする。昔の自分を見るようで本当に辛い。そしてウザイ。半端なヤツがいちばん酷い。

ってことで、これは次の話題への壮大なネタフリである。

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