« テイクの選択 | トップページ | 断食週間 »

2004年7月 8日

耳こそはすべて

言わずと知れた、ビートルズのプロデューサ、
ジョージマーティン氏の名著ですが、実に興味深い内容で、
発売から25年ほど過ぎた今でも十分バイブル足り得ます。

ビートルズ全作品CD化に際しての
ジョージマーティン氏のインタビューで
僕の中に深く残っている言葉がある
それはこの証言。
「ビートルズのCDの音は、当時我々が
スタジオで聴いていた音そのものである」。

当時僕はこれを読んで「え?」と思った。
他にもそう思う方は多いでしょうね。

CDの音は全般的にアナログより劣っているというのが
マスタリングや音響を語る上での当時の常識だったんだけど
マーティン氏は、そうではないかもよ?と言っているのだ。
88年当時と今は状況が異なるから
現在マーティン氏がどう思っているのは知らないが。

これをきっかけに僕はマスタリングについて
いろいろ考えるようになったのだ。

結論から言うと
多分マーティン氏の見解は正しいと思う。

つまり、当時のアナログのLPの音のほうが
色が付けられたもので不自然だったのであり
本物の音、製作者が意図した音とは
違っていたということである。

もちろん、それは今や「味」であり、
その音を愛している人がたくさんいるのも知っている。
だが、製作者が当時本当に出したかった音、
本来目指した音というのは多分CDで聴ける音のほうなのだ。


人間の耳は分析器ではない。
あくまで聴いているのは波形ではなく「音楽」。
だから、そもそもフラットに聴くことなど出来ないのだ。
楽器の音、声の好み、メロディ、リズム、シチュエーション、
全てを無視して語ることなど出来ない。

音楽としての「ビートルズ」を
マスタリングされた「ビートルズの音楽」として分析した場合
波形的な感覚、つまり音が冷たいとか堅いとか、
そういったことは二の次になってしまう。
つまり、総体として音の傾向がほぼ再現されている、
と、そう捉えることが出来ると思うのだ。
おそらくマーティン氏の言いたかったことも
そういうことなんだと思う。

CDというフォーマットは当然問題ありありだけども、
我々の目指した音の傾向は概ね再現されているから
良しとしよう。現状でも十分満足だ、と。
そう彼はクレバーに判断した、と。

そのことに気付いてからは、
何の音源を分析する場合でも、まず
製作者の意図した「音の傾向」というものを
意識して聴くようになった。
ノイズがあろうが、しょぼかろうが
意図した傾向が判れば、僕もそれで良しとした。

その研究成果が Back to Original なわけです。

|

« テイクの選択 | トップページ | 断食週間 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« テイクの選択 | トップページ | 断食週間 »