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2004年7月 5日

Brian Wilson / Gettin' In Over My Head

Brian.jpg
ということで、やっと
Brian Wilsonの新譜が届きました。
……。

はじめにはっきり言ってしまおう。
あなたがもし海賊盤を手に入れられる環境にあって
海賊盤という違法なものを買うということにも抵抗がなく、
本当にブライアンの声とメロディが心から好きなら
絶対に Sweet Insanity と
Andy Paley セッションを買いなさい!
これは命令!
それで、それらが入手できるなら
このアルバムは…買わなくてもいいか…。

今回の新譜は殆どがそれら未発表曲の
新しいリメイクで占められていて、
他の曲は、ほとんど埋め曲みたいなものです。
エルトンジョン、ポール、クラプトン等
豪華ゲスト参加曲も不要というか邪魔です。
だって曲自体がつまらないし。

歌も、けっこう衰えが激しく…。
それは、ブートで既に知っている、
以前のテイクと比べてしまうからでしょうけど。

僕は、既に前作のイマジネーションからして、
超駄作だと思っていて、どうにも受け入れがたかったのだ。
タイトル曲だけは名曲だったが。

そういう意味では、今回の動向が
非常に注目となったわけなんですが。
かろうじて前作よりは良い様子ですが
それも実はリメイクのおかげだったり、と。

結局、恐ろしい結論を出さなければならない。
ブライアンがまともなのは、1972年以降では
ユージン・ランディ治療時代だけじゃないの?と。

ランディ氏のやったことを
人はマインドコントロールという。
確かに自叙伝を読むとそうとも言える。
でも、多分だけど、ブライアンにとって
ランディは新しい父親だったんだよね。
世間の常識、言葉使い、人間の感覚とか
全部彼が教えたんだから。
それで彼は生まれて初めてまともな人間になったわけだ。

それに関する詳細が書かれた
有名な「ブライアンウィルソン自叙伝」は
Sweet Insanity レコーディング中に出版された。

僕等は、その本は読むことができたが、
2ndアルバム Sweet Insanity は聴くことが出来なかった。
丸ごと没になってしまったからだ(後日海賊版で入手)。
ワーナー重役レニー・ワロンカーは
「歌詞を書き換えない限り絶対に発売しない」
と言ったそうだが、確かにランディ氏の
強い影響によると思われるような過激な歌詞は、
米国人には受け入れられなかったかもしれない。
日本人は歌詞聴かないから大丈夫だっただろうけど。

その後、裁判が起こりランディ氏が敗訴、
ブライアンは自由(?)になるが、その後は
めっきりオリジナル作品がなくなってしまう。

ヴァンダイクパークスとのコラボレイションは
素晴らしい作品だったけど、これはなんと
全曲ヴァンダイクが作詞作曲したもの。
それでもブライアンの歌に聞こえるから不思議だ。

そしてドキュメンタリーがあって
セルフカバーアルバムがあって…。
そして超駄作「イマジネーション」が出て。

Andy Paley セッション音源が
海賊盤として流出したのは、その頃だった。
彼の才能は枯れてしまったんだ…と凹んでいた頃。
だから、流出の話を聞いたときも、
ここ最近の一連の流れから想像して、
まったく期待できないと思っていた。
ところが音源が届いて聴いてみると…。

驚きましたよね。
普通アーティストのデモっていうのは
本当にデモなんだけど、ブライアンの場合は
リリース寸前で没になったものが多くて
つまり、殆ど完成してるものが多いのだ。
多分 Vocal だけ仮なんじゃないかな。
それでも十分、出来上がっている状態だ。
しかもこれは「ランディ後」の作品。
これは重要な点である。
これを聴くと、彼の音楽製作力は
ランディが居なくても衰えていないと判る。


オフィシャルリリースされたものを聴くと
ブライアンも枯れてしまった、と嘆かざるを得ないのだが
Sweet Insanity や Andy Paley セッションを聴くと
まったく正反対で、ブライアンは全然OKだと強く感じるのだ。
これはいったいどういう現象なのだろう?

オフィシャルに関わっている人物が
彼の作品をダメにしている、としか思えないのだ。

それはいったい誰だ?
うすうす見当はつくんだけど。
多分一人じゃないね。

それは多分、彼を幸せにした人物でしょう。
ブライアンはやっと幸せを手にした。
その時点で、彼の作る作品の中に存在していた、
ある特定の色彩だけ失われた…。
僕はそう感じた。

ブライアンを愛する僕としても
彼の幸せはとっても嬉しい。
過去、彼の身に起こった数々のトラブルを思うと
現在の状況は本当によかった、と思えるのだが
それで作品製作がだめになってしまうというのは
本末転倒な気がして、どうも複雑である。

今回の作品は過去のボツ作品の再演が多い。
それは皮肉にも、双方の違いを
如実に証明する形になってしまった。
両テイクを聞き比べることによって
そのサウンドメイキングの優劣がはっきりしてしまったのだ。

なんか、書くのが辛くなってきたぞ。

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